キンドルで購入。永井均さんの弟子筋の清水さんが執筆者にいるということで読んでみた。永井さん自身も少しだけ著者に言及されている(p.34)。
 清水さんの箇所は〈私〉でなく「you」を使っているが、独在性の話そのもの。果たしてどのくらい非日本人で永井さんの議論に接していない人に趣旨が伝わっただろうか。
 その他は話題は多岐にわたるが、神学・キリスト教系の話の比率が高い。明らかにプリーストは、今ここからの開闢、〈私〉的なものを哲学の中核に置いているのだから、永井哲学と非常に親和的なのは納得できる。
 それが神様の話と結びつけられているのはある意味新鮮だったし、まんざら荒唐無稽な感じもなかった。
 哲学の議論意外に詩の寄稿が1つ混じってて(書いたの奥さんらしい)、それが私の英語力では全く分からなかった……。他はまあ普通レベル。
 最初の人生振り返りパートも、ストレートで哲学者にならずに割と波乱万丈気味なのも良し。
 英語圏現象学系の権威について読んでみたいという需要にはあまり答えているとは言えないのでその点は注意。
 こういう感じの本は英語圏ではどのくらい読まれているのだろう。ゴリゴリの分析哲学以外のこういうスタイルも、十分読む価値はあると思うのだが。