新刊で購入。 最終章の中島義道botなど一番直接哲学的な話はまだついていけるが、基本ひどくムズイ。「センスがあれば理解できる」らしいけど、私はその点全くダメ。森田童子の話題など何がなんだかという感じである。
 まあそれはともかく、こうしてまとめられて読みやすくなったのは喜ばしい。哲学とは関係ない短いアフォリズム的文章や冗談、芸術批評など話題は多岐にわたるのは、ニーチェアフォリズムウィトゲンシュタインの反哲学的断章を思わせる。そういったものと同じような読まれ方をしていくようになるのだろうか。
 その独創性と強度から永井さんは「大哲学者」と言って良いと思うが、同じく日本人大哲学者の大森荘蔵さんは全く対照的にこの手の文章はほとんどないはず(著作集に俳句があったほかは私は知らん)。論証抜きに決めつけると、大森哲学に倫理学関係の議論がほとんどないことと永井哲学に倫理学がしっかりあることに、この対比は無関係ではないと思う。