新刊で購入。サブタイトル通りの中身で、中島さんの議論をするというよりは、大森哲学の解釈がメイン。言われてみれば、中期くらいの立場、つまり立ち現われ一元論的で「今ここ」中心の考え方を取りながら、過去は普通に実在しているとするのは相性が良くないので、後期の過去の言語的制作論へ移行したというのは、言われてみればなるほどという結構説得力ある仮説だと思う。
 大森さんの哲学をある程度知っていたほうがもちろん良いにきまってますが、一応独立にも読めるかと。
 大森哲学の大ファンな私には非常に面白く読めて、もう一度大森さんの本を読み直してあれこれ議論したくなりました。さらに、著者の師匠への敬愛がとても感じられて、改めて私にはなかった良き師弟関係が羨ましいなぁと。
 日本人の哲学者でこういう本が出せる人って、近年だと大森さんぐらいだろうから、もう少しあっても良い気がする。本書以外だと、私が知っているのは野矢さんの本ぐらいだし。別に門下生じゃなくてもいいから、誰か書いてくれんかね。