ウィトゲンシュタイン『秘密の日記』: 第一次世界大戦と『論理哲学論考』
- 作者: ルートヴィヒウィトゲンシュタイン,星川啓慈[解説],石神郁馬[解説],丸山空大
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2016/04/20
- メディア: 単行本
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第2に、ウィトゲンシュタインが結構戦争で大変な思いをしたということ自体は知っていても、具体的中身は全然知らんかったから、それがかなり細かく分かること。サーチライト係や斥候的な役割と、いかにも危険で実際死人もたくさん出ることしてたんですな。
ある意味教養ある繊細な青年としてはそれなりに良くあると言えなくもないが、実際捕虜になったときに特別扱いを拒否したりというところは、やはりちょっと変というか、人格的にちょっと普通の人とは隔絶していると言わざるを得ないでしょう。これで益々カリスマ性が高まっちゃいますな。
日記の中身が、実際のウィトゲンシュタイン解釈にどの程度影響を与えるかと言うのは素人には分からないが(6月11日なのか7月11日なのかというあたりの話は、前半と後半とのつながりという点で最大の謎について、『論考』解釈の補助線として結構役立ちそうな気が個人的にはするが)、彼の哲学をかじったことがあるなら間違いなく興味深く読めます。