図書館で借りて流し読み。結構なボリュームだが、大筋で妥当な話だと思う。結局今でも、リベラル・左翼的傾向の言論が、結局は現実と遊離したヒップでクールな自分の知的優位を示すためのマウンティングに過ぎないのではないか、そのせいで社会の改善へ(ときに右派よりもひどくまともな左派へトンチンカンは批判をすることで)悪影響を与えているのではないか、そのような見立ては少なくとも日本の(亜)インテリ界隈ではかなり当てはまりそうな話だろう。
 文化左翼の政治や社会への悪影響は、昨今の反ワクチン運動に反科学・反製薬企業・反科学的ヒッピー志向が源流としてあることを考えると、シャレにならないレベルでマズい。そうなると、単なるアホなインテリ気どりの戯言と切って捨てて済む話ではないだろう。
 消費社会分析でウェブレンの名前が出てくるのが新鮮と言えば新鮮。古典はやっぱり考えるときの助けになるな。
 今のはやりだと「SDGs」あたりかね。明らかにこれが胡散臭いのは、結局はここで批判されている「意識改革」的欺瞞に満ちているからだろう。
 真っ当なリベラルたらんとするなら読む価値あり。キャンセルカルチャーに興じている一部カルト的な連中も、ピンカーや本書の著者のような穏当かつ現実的な知性を見習えばいいのに。