死の所有―死刑・殺人・動物利用に向きあう哲学

死の所有―死刑・殺人・動物利用に向きあう哲学

 図書館で借りて読了。著者の個性が前に出ている本。その点、教科書的なつまらさはは少なく、読んで面白い。
 中でも第1章の死刑不可能論と、7章の動物実験についての話が読ませる。死刑不可能論なんて、字面で判断すればキチガイのタワゴトですよ。やっぱりこういうことを堂々と言えるのが哲学の醍醐味でしょう。どっか議論におかしいところがあるんだろうけど、私の力量ではすぐに見つけられなかった。つっこみ入れながら読んで議論する題材としては、とても良いのでは。
 逆に、動物実験と肉食については、色々教わった感じ。「命を頂く」なんて言い草は偽善的だというのは、確かにそうかもしれん。
 値段が高いので買うのはつらいが、扱っているテーマは死刑や動物実験だけでなく、安楽死や戦争と一般性の高いものなので、哲学好き以外の人も読めると思います。