新刊で購入。第30話くらいまでは、永井哲学の読者にはおなじみの〈私〉の話を一から説明。そこからは難易度が一気に倍以上跳ね上がって、本格的な哲学の議論になる。
 口がそんなに重要な役割を果たしているとは……。ホントかな。しゃべれない人はどうなの?
 それはともかく、分量が少ないせいもあって、丁寧に説明してほしいところもスッと進んでしまって、もともとの話が難しいこともあり。よく分からないところが多い。
 個人的に感じたのは、「今」の話ばっかりじゃなくて、「ここ」の話も何らかしらの展開ができないんでしょうかね。たとえば、現在地が描かれた地図をいくら見ても、本当に当の地図が現実世界のその場所の正しい地図か分からない(例えば、現在地が入った東京駅の地図がサハラ砂漠のど真ん中にあったら、それは案内図としては適切ではないけど、それは地図を見ただけじゃ分からない)みたいな話は、何となく独在性の話と絡めて話せば、何となく面白い展開ができそうかな〜とぼんやり思っているんだけど、もちろん自分にそんな才覚はないので何もできずにいるわけですが、是非永井さんにはその辺のことをしてもらえれば、また読者は新たな展開に喜ぶのではないかと。いや全然的外れだったら恥ずかしいな。
 と色々思うところもあるわけですが、もはや生ける伝説と言っても良い人レベルの哲学者の本ですからね、もう一度ゆっくり読まなければなりません。