Anger and Forgiveness: Resentment, Generosity, Justice

Anger and Forgiveness: Resentment, Generosity, Justice

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 ギリシア悲劇から文学作品、現代アメリカの例やマンデラキング牧師ガンジー、はては自分のちょっとした体験等々多くの素材を使いつつ、怒りと許しについて論じている。社会的ランクに関連する怒りがロクなもんじゃないというのは全く同意。
 きわめて限定的に怒りを強要し未来志向の「許し」を称揚するのは、自分でも行ってるけど理想主義的すぎないかという疑問は完全にはぬぐえてない感じがwたしはした。確かに町のチンピラやコソドロにはその態度でも全然良いけど、殺人鬼や強姦魔に対してはそうもいかないんじゃないの。
 でも、ここまで真正面から古の賢者のごとく、しかも宗教的な説教じゃない形で論証しようとするのは本当に凄い。日本人のインテリでこのレベルの本を書ける人いる?
 分析哲学的で鋭利な議論というスタイルじゃないけど、まごうとこなき哲学書。というより、正統的な人文書と言った方が良いか。
 英語はちょっと難しめだけど読めないほどじゃない。素晴らしい本です。哲学愛好家以外の人も是非。