キンドルで購入。前半は簡潔にまとまった概説で良い。ただ、入門書にも関わらず義務論的アプローチの正しさを前提にして話を進めるのは、個人的には気になった。
 4章以降後半は前半に比べると、引っかかる箇所多し。キリスト教と環境破壊の関係って、さすがにこれだといくら入門書でも話が荒すぎでは。ディープエコロジーはほとんどオカルトだし。マルクスをラストに持ってくるのも、ある意味独自性が高くて馴染みのない議論に接する楽しさはあっても、初学者に対してはどうなんだろう。
 後は、結局人間だけを特別扱いする「種差別」の正当化ってのが動物倫理学のどうしても残る中核的難題と断言しちゃって良いと思うが、それも議論しないであっさり「種差別良くないよね」に近いスルーのされ方な気がした。
 動物倫理はしばらく先の未来では重視されることは間違いないテーマなことを考えると、本書を契機にしてより沢山本が出て議論が活発になって欲しいものだ。