真理のための闘争---中島義道の哲学課外授業

真理のための闘争---中島義道の哲学課外授業

 図書館で借りて読了。前半の実戦編は、奇書と言ってもいいような変わった中身。哲学というよりもクリシンぽくて、なおかつかなりねちっこいのはさすが本職の哲学者。ただ、相手にする人は疲れるだろうけど。
 後半の理論編は、対話で進む哲学的な話がメイン。「真摯な響き」(p.148)だとか言われると鼻白まないでもないが、それよりも大きな疑問として、そういった真摯な響きの言葉を発する繊細な精神の持ち主達にたいしても、ニーチェ的な懐疑、つまりその誠実さ自体がある種のソン・トク計算の発露ではないかという問いが考慮されていない気がする。そういった視点がないと、カリクレスのような世間人達から、単なる逆転したエリート主義というか、ルサンチマン的負け犬の遠吠えと反論されるだけで終わってしまうのでは
 まあここに取り上げられている連中(朝カルの人たち)に対しては、そんな難しい話しなくても、何でこんなしょうもない言い訳するのかなーという呆れるばかりであんまりそれ以上突っ込む気が起きないのが大半の人の感想なのではないでしょうか。