私は自由なのかもしれない:〈責任という自由〉の形而上学

私は自由なのかもしれない:〈責任という自由〉の形而上学

 新刊で購入。結構なボリュームで、かなり歯ごたえあるが、素晴らしく充実した中身。自由意志をある意味ニーチェ的三態の変化になぞらえられるような進行で解き明かすって、ものすごい力技だけど、自由意志を真に哲学的に考えるのならこの道しかないんじゃないかというくらい面白い。あとは、最後のハイデガーの部分。哲学的にハイデガーを読むならこういう解釈以外ありえないんじゃないでしょうか。これあれば他の解説書要らないです。
 ただ、前著から引き続きの疑問として、世界が今ここに開けることを引き受けることが、どうしても「自由」とまだ完全に結び付かない。ある種の運命としての世界の開闢は、引き受けるも何も、そうであらざるを得ないものなので、そこに選択の余地なんかないような気がどうしてもしてしまう。その開闢を引き受けること=運命愛が、非常に特殊な意味での<自由>だというのは、直観的には非常にしっくりくるものの、まだ理屈(?)が自分の中で追い切れてないんだろう。
 とにかく、著者の主著となるかもしれない名著と言って良いでしょう。哲学愛好家は必読。