文化政治としての哲学

文化政治としての哲学

 図書館で借りて読了。ローティーの言うプラグマティズムってどういうものかいまいち実体がピンとこなかったんだけれども、この本読んでやっと中身が分かった。ただ、いくら色々言い訳していて、その言い訳がそれなりにもっともらしく思えるけれども、最終的には間違った相対主義だという感じがどうしてもしてしまう。単に私が素朴な実在論者だからかな。
 あとは、まだ日本語での紹介が少ないブランダムやマクダウエルについてもそれなりに言及されているのは嬉しい。
 どちらかと言えば細部にこだわった精緻な議論ではなく、非常にスケールの大きい歴史的な話をしているので、哲学好き・分析哲学マニア以外の人でも、知的読み物として読んで得るものがあるのでは。
 何と言うか、中身の真偽とはなれて、本書は老賢者の知恵的な雰囲気があるなー。一番本書の中で印象に残った第3章「誠実な誤り」が典型的にそれを示してくれている気がする 
 あとがきによると、残念ながらいくつかの章が削られてしまったようだが、翻訳が上手なせいか文章も読みやすいし、大いにおすすめでございます。