図書館で借りて読了。以前紹介した綿野さんの本と方向性は同じ。骨格にシンガー的倫理学を据えながら、行動経済学や心理学の知見を背景に地に足の着いた論を展開している。
 特に良かったのは仕事論と恋愛論。どうしても思想や哲学好きは極端でパンキッシュなものを好みがちだが、ロマンティックラブ擁護と仕事の意義をとても穏当でバランスの取れた形で主張していて感心した。
 ポジティブ心理学って字面だけで読まないで馬鹿にしてたんだけど、それなりに説得力ある知見を提供してくれているらしい。偏見は良くないね。
 タイトルからしてピンカーを意識しているのは明らかだが、本書も含めそういった思潮が普及して少しでも世の中が良くなればいいのだけれど……。
 余談。一つだけイチャモン。「大概の人は二人や三人以上の親友を持っている」(p.258)というのは明らかにウソだろう。KKOのボッチ具合を甘く見てはいけない。