キンドルで購入。

 英語は普通からちょい読みにくいくらい。

 動物の権利について、従来のケイパビリティアプローチを拡張して包括的に論じたもの。ペットや食肉産業だけでなく、動物園など日本であまり論じているのをみかけないテーマもある。抽象一本槍ではなく法律や政策についても言及があるのは、キャリアや専門の強みが出たところか。

 どうしても「綺麗ごと」感はしてしまうが、方向性自体はそれなりに説得力あるものだし、おそらくはゆっくりと本書のような方向へ行くのかな。

 亡くなられた娘さんとの思い出に捧げられた本書は(やっぱ娘さんも相当なエリートだったんだね。少しモヤる)、今後の動物倫理を論じるときの基本書になるだろう。

 ある意味「動物本来のあり方」を重視するこのアプローチは、古代ギリシア的響きが感じられる(著者のバックグラウンドからも明らかなんだろうけど)。「人文的なものの擁護」の一例としてもいい例とみなせるかもしれない。